最近,立て続けに似たような依頼があったのでこんな話を。

立て続けてあったのが,「相続登記漏れ」です。メインの自宅は相続登記はしたものの,課税されていない等の理由で相続財産の把握から漏れてしまい,登記しないまま現在に至る,というパターンです。

だいぶ前にお亡くなりになった方が登記名義人で,中には江戸時代にお生まれの方というケースも。ただ,戦前の相続はほとんどが家督相続なので,亡くなったのが戦前であればそれほど大変になることはそんなにありません(例外はありますよ)。大変になるのは,戦後にお亡くなりになった方の相続。相続割合に多少の変動はありますが,基本的に相続人は現在の法制度と同じです。基本的に相続人間で遺産分割協議等を行う必要があります。

「相続登記漏れ」の場合,原則としては相続人全員で改めて遺産分割協議書等を作成することになるのですが,例外というか,ラッキーなケースがあります。過去に作った遺産分割協議書等やその当時の印鑑証明書等が残っていれば,記載内容次第ではそれをそのまま利用することができるのです。このような書類が見つかったときは「ラッキー!」と手をたたいて喜んでしまいます。

今回は,いずれのケースもそれらの書類が残っていましたので,比較的簡易に手続きを進めることが出来ました。当時の相続人も何人か亡くなられていましたので,現在の相続人は十数人から数十人になってしまうケースだと思われます。恐らく書類がなかったら今回の登記も諦めていたことでしょう(物事が解決するわけではありませんが将来への持越しです)。

で,タイトルの話です。古い書類のうち相続に関するものは,出来れば捨てないでください。特に,すでに亡くなられた方が署名・実印押印した書類や印鑑証明書は,本当にお宝です。それらは今となってはもう手に入れることは出来ないものです。

ということで,司法書士の立場からすると,特に相続に関する書類については,出来得る限り残しておいていただきたい,と声を大にして言いたいところです。