気が付けばもう6月末。今年も半分が終わってしまいました・・・。
さて、4月1日より相続登記の義務化が始まりましたが、諸事情により相続登記ができない方の救済制度として、「相続人申告登記」があわせてスタートしました(不動産登記法76条の3)。これをすることにより相続登記の義務は履行したとみなされることとなります(同2項)。
この制度のメリットは本当に「相続登記の義務は履行したとみなされる」だけで、根本的に何かが解決するというわけでもないので、あまりお勧めするということもないのですが、今回は依頼者から是非にということでしたので(事情的にも仕方がないかという案件でした)、初めて手続きをしてみました。
通常の場合、「登記申請書」を提出するのですが、今回提出するのは「相続人申告登記の設定の申出書」。「申請」ではなくあくまで「申出」になります。
そして、申出があったときは、登記官は職権でその旨並びに当該申出をした者の氏名及び住所等を所有権の登記に付記する、とされています。なので、登記自体はあくまで職権登記であり、申出はあくまでその職権発動のきっかけに過ぎない、という体裁になりますね。
添付書類、特に相続関係を証明する戸籍謄本等については、登記名義人と申出人との関係を証明するものだけあればOKなので、法定相続の登記に比べるとその点の負担はだいぶ軽減されます。
今回はオンラインにて申出を行いましたが、そうすると完了証もオンラインでの交付のみとなります。電子公文書(PDF&XMLファイル)が発行されますが、その記載はかなりあっさりとしたもので、登記の内容自体は登記事項証明書を取得しないと全く分かりませんね。
なお、相続人申告登記の後に、遺産分割協議が成立して所有権を取得したときは、その遺産の分割の日から3年以内に所有権の移転登記を申請する義務がありますので、その点お忘れなきよう・・・。