最近、悪質な請求が増えているようです。

種類は大きく二つ。

一つは、本来一連で計算すべき二つの取引を分断計算して、第二取引分のみ請求するパターン。

もう一つは10年以上前の取引について、時効完成しているにもかかわらず、請求をしてくるパターン。

多くは、当初の貸金業者からの請求ではなく、その業者から債権譲渡を受けた債権回収会社などから請求が来ているようです。

ここで問題なのは、債務者の無知に付け込んでくる、という点です。

 

まず、時効のパターンですが、よくあるのは、「1000円でもいいから払ってくれ」という話。

一般の方だと、「1000円くらいなら・・・」と払ってしまう可能性があります。

しかし、これは時効利益の放棄とみなされ、せっかく完成した消滅時効がなかったことになってしまいます。

このような場合には、債務の承認となりかねない行為、支払いをするとか、念書を書くとか、は絶対しないようにしましょう。

(まぁ、逆の立場から相談を受けた時には、私は100円でもいいから回収して来い、ってアドバイスしますけどね・・・。)

 

もう一つ、これはどちらのパターンにも当てはまるのですが、裁判所を使ってくる方法です。

日本の民事裁判は、弁論主義、というものを採用しています。

これは、どういうものかと言えば、要は「言った者勝ち」という仕組みです。

言わなければ、その事実が本当はあったとしても、裁判上はなかったことになってしまいます。

悪質な業者はこれを悪用してきます。

つまり、とりあえず裁判で請求してくるのです。

そして、被害者が何も言ってこなかったり、裁判を欠席してしまえば、業者の言い分100%の勝訴判決の出来上がりです。

時効も、取引がいくつもあったことも、これで被害者は裁判上何も言えなくなってしまいます。

勝訴判決が確定すれば、法律上何の問題なく差し押さえまでできてしまいます。

ここまで来てしまうと、被害者はかなり厳しい状況になってしまいます。

 

見たこともないような業者(特に〇〇債権回収とか)からの請求があった場合や、裁判所からお手紙が来た場合には、なにはともあれ、司法書士でも弁護士でも、一度相談に行かれることをお奨めします。